「祈り」はわたしたちの宗教的生活の中心をしめています。会衆が心と声を合わせて共に祈る祈りがある一方で、わたしたち一人一人がそれぞれ自由なことばで祈る祈りもあります。祈りのなかには、感謝があり、賛美があり、訴えがあります。旧約聖書の時代のひとびとも私たちと同様に、祈りのなかで神を賛美し、神に感謝するとともに、彼らが直面していた問題を神に訴えかけていました。
旧約聖書のひとびとが直面していた問題は多岐にわたります。人間関係の困難さ、病気の苦しみ、死の恐れ、不正による抑圧など、現代わたしたちがかかえる問題の雛形がそこにあるのです。信仰者はそのような苦しみのなかで、率直に嘆き、そこからの解放を神に訴えました。旧約聖書に収められた祈りの多くが、実はこのような祈りです。嘆きの祈りにはある一定の形式と内容があります。旧約聖書のひとびとはそれをどのように学び、自分たちのものとしていつたのでしょうか。今回の講演では、古代オリエントの祈りの文脈を視野の入れつつ、旧約聖書の祈りについて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
日時
2012年6月16日(土)午後2時~4時
講師
高井啓介氏(慶應義塾大学・明治学院大学非常勤講師)
場所
OCC415号室